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フリーダム・ライターズ

フリーダム・ライターズ スペシャル・コレクターズ・エディション

監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
2007年 アメリカ

主演のヒラリー・スワンクが製作総指揮までしているということで、かなり気合入ってるんだろうなと思いつつ観てみたのですが、それにしちゃあ随分な映画を作っちゃったな。

原作はベストセラーにもなった実話で、ギャング・銃・貧困・虐待と、アメリカが抱える問題をこれでもかと詰め込んだようなとある街の荒廃した高校を舞台に、新米女教師の奮闘によって生徒達が人生に希望を見出してゆく姿を描いた映画です。

で、何が随分な映画なのかというと、事実を追うことに躍起になっているところ。何しろ数十人の生徒それぞれが問題を抱えていて、それを二年かけて更生させてゆく物語だから、2時間の映画で全てを描けるはずもなく、当然ながら端折ることになるわけですが、どこを描いてどこを描かないかという取捨選択が下手なのです。熱血教師と生徒に話しを絞ればいいものを、教師の夫だの親だの、余計な情報を入れすぎ。

百歩譲って、プライベートな部分も描くことで教師の人間性を炙り出したかったというならば、なぜ彼女が仕事に熱中しすぎるあまり夫と擦れ違って離婚するというプロとしては失格と言っても良いほどののめりこみ方、愚かなまでの情熱を持つに至ったのか、そこをきちんと描いてくれないと、彼女の人間性なんてさっぱり判りません。なのに彼女の暴走ぶりだけを見せられても、「この人いったい何にとり憑かれているの?」と疑問ばかりが頭をよぎります。

以前、『奇跡体験!アンビリバボー』というテレビ番組で、やはり原作に基づいてこの出来事を紹介していたのを観ましたが、その方がよほど無駄なく、面白かったですよ。卒業後の生徒達の近況にも触れていましたし。実はそこが重要で、卒業してもやっぱり現実は厳しくて元の木阿弥でしたってんじゃあ意味がないのであって、この映画も無駄を詰め込むならば生徒のその後こそ描くべきだろうに、と私は思いました。


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ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 リミテッド・バージョン [DVD]

監督:ロブ・コーエン
2008年 アメリカ

お馴染み、冒険活劇の第三弾。今度は舞台を中国に移し、始皇帝と思しき男の邪悪な企てを阻止すべく、主人公一家が命がけの大冒険をするのだー、の物語。もうエジプトもミイラも関係ありません。

この映画を一言で言うと、物量映画。とにかく質より量。ただグズグズと引っ張るだけで的を射ないアクションといい、まるで生命体とは思えない雪男や詳細を省かれた骸骨軍団などのCGといい、作り手はユーモアと思っているのか知らないが単なる程度の低い軽口の応酬といい、とにかく量でごり押ししようという目論みです。

更に。主演のブレンダンは貫禄が無く大学生の父親には見えないし、レイチェル・ワイズの降板で新たに起用されたマリア・ベロは逆にババ臭過ぎるうえにこれまでの奥さんとはキャラが違っているし、皇帝役のジェット・リーは大したアクションを見せるわけでもなく彼が演じる必要性がないしで、キャスティングへの違和感がありまくりなのでした。

あんまり退屈だったから、俺は一緒に観ていた彼女に思わずこう訊いたんだ、「この映画あと何分くらいあるの?」と。すると彼女はこう答えた、「んと、今55分くらい経ってるから、映画は1時間40分くらいで、だから、えーっと」

ってね。


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ブラック・スネーク・モーン

ブラック・スネーク・モーン スペシャル・コレクターズ・エディション

監督:クレイグ・ブリュワー
2006年 アメリカ

アメリカ南部の田舎町。妻に浮気された元ブルーズマンの中年男、ラザラスは、敬虔なクリスチャンということもあって不貞を許せず、妻は去って行った。ある日、ラザラスは怪我を負って道端で意識を失っている若い女を見つけ、家に連れ帰り看病する。女のうわ言をヒントに町で情報収集をしたところ、彼女の名前はレイといい、恋人がありながら男と見れば誰とでも、所構わず股を開いてしまうセックス依存症であるという。レイの中に妻と同じ“悪魔”を見たラザラスは、彼女の身体に鎖を巻き付けて監禁し、更生させようと試みる――。

説明文とジャケットだけ見ると、少し猟奇的なB級エロティック・サスペンスのようですが、違います。痩せっぽちで生っちろい半裸のクリスティーナ・リッチに、白髪混じりのひげを蓄えた身なりの汚いサミュエル・L・ジャクソンが鎖を巻き付けて、「お前の中の悪魔を俺が追い出してやる!」と叫んだりしますが(むしろ狂っているのはオマエの方だろう)、ラザラスやその仲間との交流によってレイが“やまい”を克服してゆく過程を描いた、断じて真面目な、ちょっと心温まるヒューマンドラマです。

過去に受けたトラウマが呪縛となって自らを傷つけてしまうレイの病状は深刻なのだけれど、アメリカ南部ののどかでゆったりとした雰囲気と、バックで流れ続けるブルーズの効果もあって、シリアスながらそう重苦しくはありません。おそらくレイほど深刻な依存症を抱えていたら、例えば薬物依存症患者のためのダルクのようなところに入るなどして、長期的な構えで問題と向き合う必要があるはずで、そういう意味ではリアリティに欠ける物語ですが、しかしラストは、一応希望を見出せる終わり方ではあるものの、根治が容易ではないこと、彼女と恋人のこれからが前途多難であることを示しており、絵空事というほど現実離れしているわけではなかったので、そこは良かったと思います。


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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン

ホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!~ [DVD]

監督:エドガー・ライト
2007年 イギリス、フランス

ロンドン警察署に勤務する主人公は、その優秀さが仇となり、目障りだという理由で田舎の小さな村に左遷される。彼がそこで出会ったのは、未成年者が酒場でたむろしていても注意すらしないような、事なかれ主義で無責任な警官達だった。ある日、村で殺人事件が起きる。しかし署長も同僚も、それは事故であるとし、事件性が高いという主人公の言い分は却下され、事件が連続殺人の様相を帯びてもなお、一向に捜査は行なわれない。やる気を失いかけた主人公であったが、事件の背後に潜む陰謀に彼は気付き始める――。

いかにもイギリス風味のユーモアと、ありとあらゆる映画のパロディと、けれんみ溢れるアクションが満載のバディ・ムービーで、かなりの良作でした。いやもう本当に、少なくとも今年公開された映画の中では間違いなくトップクラスの良作です。タランティーノや三池崇史の作風が好きな人ならたぶんイケマス。とにかく映画が好きでしょうがない人達が愛情たっぷりに作った作品という感じです。やってることはいちいち馬鹿なのですが、不思議なことに主人公と相棒がカッコ良く思えてきてたり、不覚にも少々の感動を覚えたりもしました。でもやっぱり馬鹿で、お涙頂戴には決して陥りません。

己の信念にのみ基づいて行動する融通の利かない男が単身で巨悪に挑み暴れまわるというプロットは、さしずめ『ウォーキング・トール』や『ダブルボーダー』といったところでしょうか。まあ巨悪といってもこの映画の場合、小さな村の出来事なのでたかが知れているのですが、閉鎖的な村社会に巣食う病理の気持ち悪さはよく出ていました。他にも『ダーティハリー』、『デスペラード』、『リーサル・ウェポン』を想起させる場面があったり、『ハートブルー』に至っては劇中に本編の一部を挿入した上に同じシーンを再現してしまうという徹底したふざけぶり。映画(特にB級以下)を知り抜いている人に解説をお願いすれば、おそらく山ほどの引用が見つかることと思います。

一つ気をつけた方が良いのは、グロテスクなシーンや残虐なシーンがいくつか含まれる点でしょうか。そっち方面が苦手な人は注意が必要かもしれません。ちなみに日本でのレイティングはR-15です。


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ピーナッツ

ピーナッツ プレミアム・エディション

監督:内村光良
2005年 日本

スポーツライターとして一度は大当たりしたもののスランプに陥り、恋人とも上手く行かなくなった主人公。気分転換のため久々に帰郷した彼を待っていたのは、やはりそれぞれに問題を抱えるかつての草野球仲間だった。彼らは今一度野球を通して人生の再起にかけようとするが、そこに街の再開発計画が浮上、実現されれば野球場は取り壊されることとなる。彼らは計画の大元である大企業に野球の試合を申し込むのだが……。

ファンにとっては言わずもがなですが、この映画はテレビ朝日で放送されていたバラエティー番組『内村プロデュース』から派生したものです。私もファンの一人なので、どうしてもこの映画に対する意見は甘くなってしまいます。

平凡でベタな映画ではありますが、とても真面目に、丁寧に作られているという印象を受けます。ウッチャンの愛情――それは黒澤やジャッキー・チェンへのオーマジュに見られる映画への愛情であり、内Pメンバーへの愛情であり――が随所に垣間見えて温かい作品です。

もちろんお笑いが多分に含まれています。ふかわりょうの実父によるバイオリン演奏のシークェンスや、さまぁ〜ず三村のツッコミには分かっていても笑ってしまいます。ただ、少々やり過ぎて喜劇とコントの境目を越えてしまっている部分があります。竹中直人とくりぃむしちゅー有田のくだりにしても、ふかわりょうのオカマネタにしても、お遊びが過ぎるかな。特に後者は内Pを見ていない人には意味を成さないでしょう。

さまぁ〜ず大竹が一瞬見せるシリアスな表情や、たぶん地だと思われるTIMレッド吉田のどこまでも愚直で大らかなキャラには意外にもグッと来きますし、やはり地だと思われるTIMゴルゴ松本の日本男児っぷりにはニヤニヤできます。とはいえ、これもやはり内Pを見ていたからかもしれず、内輪受けの域を出ているかどうか判断の難しいところです。

脇を埋める役者陣には安定感があり、ドラマ部分が成立しているのは彼らのアシストが大きいと感じます。三村の台詞回しなんてあまりに酷くてハラハラしましたが、三村の妻を演じた中島ひろ子が救いになっています。まあ三村も映画の終盤あたりになるとそれなりになっていましたが。ほとんど物語の時系列のまんま撮影されたのかもしれないですね。

そんなわけで、内Pファンなら贔屓目で見て楽しめるでしょうし、そうでない人でももしかしたら……の映画でした。私は今回二度目でしたが、もう一度くらい酒でも飲みながら観たいところです。それより内Pを再開してくれ。内村さまぁ〜ずも好きだけど、それはやっぱ違うんだよ。


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ベルリン・天使の詩

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版

監督:ヴィム・ヴェンダース
1987年 西ドイツ、フランス

この世には大勢の天使がいて、人間の行動をじっと観察しています。彼らは時に、人助けに走ることもありますが、それは少し塞いだ気分を転換させるという程度で、普段はただ温かな眼差しをもって、人間に寄り添う存在です。とまぁ、これが前提。

主人公もまた、そんな毎日を送る天使の一人です。更に、彼には特に親しい天使仲間がいて、こちらの天使はいわば、裏の主人公といったところです。二人の視点は真逆で、主人公は人間の生き方に悦びを見出して憧れ、裏主人公は虚しさを感じ絶望します。

映画の前半は主に、彼ら二人の天使から見た様々な人間模様について、ほとんど脈絡の無い、散文詩のような形で綴られていきます。この前半部分が私は好きで、だからまた性懲りもなくこの映画を観たのですが、後半に入るとせっかくの詩的な表現は薄まり、結局は恋愛映画になってしまいます。というわけで、後半については興味が無いので割愛させていただきます。全く他人の恋愛ほどどうでもいいものはないな。


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ヒーロー 靴をなくした天使

ヒーロー 靴をなくした天使

監督:スティーヴン・フリアーズ
1992年 アメリカ

シニカルで身勝手で嘘つきでうだつの上がらない男が主人公。人は信用できないという持論を我が子にまで刷り込んで、別れた妻から文句を言われるような男です。仕事もクビになり、せこい盗みで食い繋ぎます。演じるのはダスティン・ホフマン。

ある日、主人公は別れた妻の元にいる子供に会おうと車を飛ばすさなか、飛行機の墜落事故に遭遇します。成り行きで乗客や乗務員を助け出す彼でしたが、実のところ人助けなんて割に合わないことは嫌いな男です。おまけに100ドルもする靴を片方なくすし、自分の車はどこかにレッカーされるし、それでもどうにか浮浪者のボロ車をヒッチハイクして乗せてもらい、お礼に片方だけ残った靴をプレゼントして裸足になったまま子供に会いに行きますが、また約束の時間を守らないで云々と元妻から怒鳴られ、もうさんざんです。

翌日からテレビのニュースは、片方の靴を残したまま消えたヒーローについての話題で持ちきりです。本人が一向に名乗り出てこないので、テレビ局はとうとう賞金まで用意します。大勢の偽物が局に詰め掛ける中、靴の持ち主が現れて、自分があの消えた天使だと名乗ります。主人公を車に乗せた浮浪者でした。

以来、その浮浪者はヒーローとして祭り上げられます。確かに彼は人々が求めるヒーロー像にうってつけでした。本当のヒーローはその頃、盗みがばれて保釈金も払えずに投獄間近でしたが、そんなことは誰も知るよしがありません。たぶん知りたくもないでしょう。人々には知る権利があると言いますが、人は知りたいことしか知ろうとしないし、マスコミは人々の食いつきがいいセンセーショナルな事実しか知らせようとしないのが常です。そこに真実などありゃしないのだ。人は善悪・清濁・陰陽、あらゆる相反する要素を同時に併せ持つグレーな存在であるはずが、人助けをした人間はすべからく善人であり、何らかの被害にあい死んだ人間はすべからく罪なき人であり、罪を犯した人間はすべからく悪の塊であるとしてしまう、それがマスコミのやり方であって、人々が求める物語です。

事態を遅まきながら把握した主人公も黙っていられません。何しろ彼には保釈金が必要なのです。名誉なんぞどうでもいいから、とにかく賞金だけはいただかなければならない。そこで誰彼つかまえては、我こそが消えた天使だと訴えますが、盗人の言い分など誰が信じましょう。今やすっかり聖人扱いの浮浪者と直談判しようにも、周囲を取り巻くガードに遮られて近づくことさえ出来ません。哀しいかな、それが現実なのです。テレビの中の狂騒を無表情に眺めながら、主人公は安酒をちびちびと舐めます。考えてみれば、人に信用されない・信用しない生き方を選択したのは、彼自身なのです。そうして一旦は諦めたかに見えた彼でしたが、このあと事態は一転します。それは観てのお楽しみ。

マスコミの体質の描き方がステレオタイプに偏っている感はあるものの、善いだけの人間も悪いだけの人間も出てこないところに好感が持てるし、人生や世の中の真理みたいなものを示唆する台詞が色々とあって、どれも納得できるものでした。主人公が子供に言った、「世の中は嘘だらけだ。お前はその中で気に入った嘘だけを信じればいい」という台詞が印象的。


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ブレイブ ワン

ブレイブ ワン 特別版

監督:ニール・ジョーダン
2007年 アメリカ、オーストラリア

J・フォスターにはすっかり“戦う女”のイメージがついてしまいました。プライベートにまつわる話もあいまって、私には彼女の生き方が片意地張ったものに思えてしまい、昔は好きでしたが今はそうでもありません。更に『フライトプラン』の糞っぷりが駄目押しとなり、この映画も観ようか観まいか考えあぐねたのですが、結局、観ました。

で、これがなかなか良いのです。数人のチンピラに襲われて大怪我を負い恋人まで殺された女が、自殺する目的で銃を手に入れるのですが、たまたまコンビニで銃を振りかざす男を射殺してしまったことから、彼女は連続殺人に手を染めてしまいます。ターゲットはどれも“悪”です。地下鉄の車内で傍若無人に振舞う若者、少女を監禁する男、確たる証拠を掴ませない狡猾さで逮捕を免れ大手を振って町を歩く裏社会の顔役。彼女はそれら悪を懲らしめる正義の使者です。しかし正義という力を行使すれば、その者もまた悪となります。

ラジオのDJを生業としている彼女は数件の“制裁”について、自分の番組で聴取者からの意見を募ります。かかってきた電話のほとんどは制裁に肯定的で、溜飲が下がる思いがしたというようなものもあります。うんざりする彼女でしたが、一件だけあった否定的な意見には暗い顔で賛同します。彼女自身、重々判っているのです。彼女の行いは紛れも無く暴力であるということを。しかし正義というものは、ひとたび暴走し始まると本人にも止める術がありません。元が善意より発露しているから余計にタチが悪いのナ。そして彼女は思うのです、「もう戻れないところにまで来てしまった」と。

女はアメリカを象徴しているのでしょう。願わくば、せめて彼女のような良心を持ったアメリカ人が少数派でなければ良いですが、んー、望みは薄い気がします。アメリカだけではありません。日本にも、正義という名の暴力に喝采を贈る人間がいます。自らの手を汚すこともなく、制裁が行なわれる様をテレビ画面で見ながら溜飲を下げる人間が、少なからずいるのです。世界を戻れないところにまで押しやってしまうのは、そういう人達ダ。


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パラダイム

パラダイム

監督:ジョン・カーペンター
1987年 アメリカ

神父だったか司祭だったか、とにかく聖職者の依頼によって、間近に迫りつつある悪魔の誕生を科学的見地から未然に防ぐごうとする大学教授と彼の教え子達の物語。デス。

これなぁ、何て言えば良いのかなぁ。

まあ平たく言ってしまえば面白くなかったんだけれど、どこがどうかと言うと、まず悪魔の誕生に際して不吉な出来事がいくつか起きるわけですが、それらがどれをとっても平凡で平板なんだな。虫とか、皮膚に浮かび上がる傷とか、腐った死体とか、もういいよそういうの。'87年当時でも既に古い。

科学的見地から、というのは、教授と教え子たちは物理や数学を専攻しており、それら学問に基づいて悪魔の誕生のメカニズムを解析しようとするのだけれど、まあそれ自体は良いとして、問題なのが決着のつけ方です。もう学問関係なしの力技。しかも最終的に悪魔に引導を渡したのは司祭であるというね。それまでの議論はいったい何だったのか。

唯一印象的だったのは監督自らの手による音楽でした。しかしそれも同監督の他作品で聞いたことのあるようなスコアばかり。カーペンターは作品によって当たり外れが極端過ぎるゾ。


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ブラックブック

スマイルBEST ブラックブック [DVD]

監督:ポール・ヴァーホーヴェン
2006年 オランダ、ドイツ、イギリス、ベルギー

家族をナチスに殺害されたユダヤ人の女性歌手が、復讐のためレジスタンスと行動を共にし、諜報活動を行なうべくナチス上級将校に近づいて愛人を演じるも、まあ色々あって……、というようなサスペンス映画でした。

二転三転するストーリー展開が圧倒的に面白いです。私がここ数年間に観た映画の中では上位に入ります。娯楽映画としてもよく出来ている上に、人間のエゴや業、愚かしさといったものも絶妙な配分で描かれています。それもナチスだけを悪と捉えるのではなく、虐げられる側の人間のどす黒い感情までも描くのです。

ヴァーホーヴェン監督にしてはバイオレンス描写がやや大人しい気もしますが、例えば遺体の扱いや、その損傷具合に、特有のグロテスクさが見て取れます。また、やはり彼特有のシニカルなユーモアセンスも随所で見られました。ヒトラーの物真似をしてふざけるレジスタンスの一員が、そのままの格好でリーダーに叱られる場面なんて、シリアスな状況であるはずなのに笑わずにはいられません。盗聴器から漏れ出るヒロインのもがく声が笑い声に聞こえたため、レジスタンスのメンバーが彼女を裏切り者だと思い込むシークェンスにも、ヴァーホーヴェンの底意地の悪さを感じると言いますか、彼のにやけ顔が目に浮かぶようで、やられたと思いました。卑劣で下衆なナチス下級将校に限って音楽的センスを持ち合わせているという設定もまた然り。

時代と男に翻弄される、強さと弱さを併せ持った魅力的なヒロインを、カリス・ファン・ハウテンというオランダの女優が好演していました。綺麗で可愛らしくてセクシーでミステリアスです。あんな女優が繊細かつ豪胆な演技とともに、なかなか上手な歌とあられもない姿態を披露するのですから、日本映画は到底敵わないと思い少々へこみました。ちょうど日本アカデミー賞の授賞式を見たので尚更です。何なんだよ、あのラインナップは。

ナチス下級将校の秘書兼愛人であり、ヒロインとともに雑務を負っていた女が、戦争が終わった途端、イギリス兵と仲良く凱旋パレードに加わっているシーンが印象的でした。最も逞しかったのはヒロインではなく彼女だったのかもしれない。


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