<< フレンチ・コネクション | main | うなぎ >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています


- | - | -

愛についてのキンゼイ・レポート

愛についてのキンゼイ・レポート

監督:ビル・コンドン
2004年 アメリカ、ドイツ

18000人のアメリカ人を対象に、性にまつわるあらゆる調査をインタビュー形式で行い、本にまとめたアルフレッド・キンゼイ博士の伝記です。愛についてのキンゼイ・レポートと言うよりも、キンゼイについてのレポートでした。

厳格過ぎる父の教えに反発するかのように、ラジカルでリベラルな思想の持ち主となった昆虫学者のキンゼイ氏は、より実際的な性教育を求める教え子の声をきっかけに、性の研究に没入してゆきます。しかし1940〜50年代のアメリカにおいて大っぴらに性を論じるのは御法度。なにしろマスターベーションをすると病気になるなどという珍説がまかり通り、州によってはオーラルセックスが違法行為だったという時代です。汝、性を語るなかれ。当然ながら世間の風当たりは強いのでした。

それでもめげない博士の努力は認められ、ロックフェラー財団は彼に資金を援助します。こうして博士は大規模な調査に漕ぎ付けるわけですが、彼は研究に没入し過ぎて、例えば自ら同性との性行為や夫婦交換、複数人同時プレイを経験するなど度を越してしまい、そのことが仲間内の人間関係に綻びを生じさせます。あくまで博士はヒトという生物の性を学術的に研究しているのであって、その視点は非常に非情なのです。あ、ダジャレ。身体が交われば情が移るかもしれないという可能性は考えず、研究者としての冷徹な探究心だけが彼を突き動かします。そして博士は次第に孤立します。極めつけは女性版キンゼイ・レポートの出版でした。男性版だけならまだしも、女性の性まで白日の下に晒すとはなんたる不謹慎!というわけで、博士は世間から非難されてしまうのでした。

さて、博士の方法論についてはさすがについてゆけないというか、共感できない点が多々ありました。しかし彼の研究によって救われた自称“性的マイノリティ”は少なからずいただろうし、そういう意味で彼の功績はデカイと思います。もしかしたら自分は異常なのではなかろうかと思い悩んだことのある人は観てみるといいかも。逆に、自分は絶対に正常であると信じて疑わない人には、そんな奴がいるかどうか判りませんが、100万回観ろと言いたい。性において何が正常で何が正常でないのか、そもそも正常な性なんてものがあるのか、よくよく考えろと言いたい。タモリさんが何度かテレビで言ってましたっけ。「変態ではないセックスというのは、生殖のために営まれるセックスだけだ」と。まさしくそうだと思うよ。愛のあるセックスや快楽のためのセックスができるのは変態の証しです。変態は高度な知性を有する人間の証しなのです。変態万歳。なんか怪しいセックス教団みたいになってきました。

つくづく思ったのは、博士はあの奥さんと巡り合えて良かったね、ということ。自分の性を赤裸々に晒すことのできるパートナーと巡り合うのは非情に難しいのではなかろうか。昔も今も。


あ行 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト


- | - | -

コメント









トラックバック

トラックバックURL :