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ダミー

監督:グレッグ・プリティキン
2001年 アメリカ

主人公は30歳にもなるというのに、未だ一人立ちできず親元で暮らす冴えない青年です。おまけに職まで失ってしまいます。内気で口下手なため、人と上手くコミュニケーションをとることもできず、家族からもつまらない人間と思われ、彼が発する言葉は誰の気にも留められないまま、ただ宙に霧散するばかりです。そんな彼が自己改革の手段として一目置いたのが、たまたまテレビで見かけた腹話術でした。ダミー(腹話術人形)の言葉に自分の思いを乗せるのです。早速彼は街の骨董屋でプロ仕様のダミーを購入し、練習を始めます。職業安定所で老人ホーム慰問の仕事も貰いました。いつしか彼はダミーを片時も手放せなくなり、憧れの彼女とのデートでさえ、ダミーを介さなければ喋れなくなっていきます。最早、どちらがマスターでどちらがダミーか、彼自身にも判らないのです――。

こう書くとホラータッチのシリアスなドラマのように思われるかもしれませんが、そうじゃありません。大人になりきれない気弱な青年の成長を描いた爽やかなコメディです。そこにちょっとした恋愛話や、彼の唯一の理解者である蓮っ葉な女友達のエピソードが絡んできます。女友達を演じるのはミラ・ジョヴォビッチ。すんげー可愛い。もうすんげー可愛い。主人公がなぜ彼女に惚れないのか私には皆目判らない。どこに目つけてんだ。

そんなことはさておき。主人公が惚れ込む女は、舞台役者の仕事をしているアルコール依存症の元彼に付き纏われています。演じる事を生業とし、何かに頼らなければ自分の気持ちを表現できないという部分で、その男は主人公と似ているわけです。主人公の成れの果てと言っても良い。ラストで二人は対決することになるのですが、それはいわば主人公が自分自身と対決するということでもあるわけです。そのあたりの構造がなかなか良くできていると思いました。ああそれから、主人公には姉がいて、親の意向のまま自分の気持ちを押し殺して生きてきたような人なのだけど、彼女の存在もドラマに深みを与えていました。主人公のような人だけが殊更繊細で生き難さに悶々としているのではなく、おそらく人は誰でも、あまりに多くの思いをひたかくしにして生きているということなのでしょうな。


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