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ハリー・キャラハン祭り

ダーティハリーシリーズを一挙にドーン。

ダーティハリー 特別版 [DVD]

ダーティハリー
監督:ドン・シーゲル
1971年 アメリカ

汚れ仕事ばかりやらされている“ダーティ”なハリー刑事が連続殺人鬼の“サソリ”を追い詰める話しです。でも本当のところハリーはダーティじゃありません。むしろ紳士的で人が良いのです。悪態をつきながらも上司の命令には従い、犯人の言いなりにもなります。警察機構の中にいる者として、きっちり分をわきまえています。しかしそれではやりたい放題の犯罪者に太刀打ちできない瞬間があることも知っている。だから彼はどこか虚無的だし、犯人を撃ち殺しても無力感でいっぱいです。これはシリーズの三作目あたりまで変りません。

ハリーの他の特徴として。まず、彼はよく走ります。ヘロヘロになっても走り続けます。刑事は足を使え、なんて言いますが、そういう意味じゃ彼はまさに刑事の鑑です。ただし走るシーンはシリーズを追うごとに減ってゆきます。歳には勝てません。それから、ハリーといえば44マグナム。あの馬鹿でかい銃を片手で扱うのは、撃った時の反動の大きさを考えると無理があるし、仮に両手でしっかり握ったとしても、対象から5メートルも離れれば命中させることはまず不可能でしょう。そもそも一介の刑事があんな銃を持ち歩くことからして非現実的なんだけれど、あれはまあ象徴的なものだから、それはそれで良いのだと思います。あ、それから、ハリーはいつもホットドッグを食ってます。それも眉間に皺を寄せて不味そうに。無造作に頬張ってモグモグしながら懐から44マグナムを抜くハリーはカッコイイです。ちなみにハリーは、「ホットドッグにケチャップをかけるようなヤツとは一緒に仕事をしたくない」のだそうです。マスタードはどうなんでしょうか。知るか。

ところで。サソリがスクールバスをジャックして、「漕げ漕げ漕げよー、ボート漕げよー。唄え!」と生徒たちに歌を強要するシーンは名場面です。“映画の中のムカツク犯人像ベスト10”というランキングがあったら、上位入賞すること請け合い。


ダーティハリー2 [DVD]

ダーティハリー2
監督:テッド・ポスト
1973年 アメリカ

法の目をかいくぐり大手を振って歩いている悪党どもに私的制裁を加える白バイ隊が登場。正義を気取る白バイ隊の連中に“同類”と見なされ助力を求められるハリーですが、彼は賛同しません。一見、似ているように見えて、白バイ隊と決定的に違うところ、それは、ハリーは裁かないということ。ハリーはここでも刑事としての分をわきまえているのでした。つくづく真面目な男です。

不器用な男の生き様を陰鬱に描いた一作目と異なり、この二作目は活劇としての見せ場が多く、雰囲気も明るめで軽いです。少なからぬファンがいるようですが、私はやっぱり一作目が好きだ。というかドン・シーゲル監督が好きなのだ。


ダーティハリー3 [DVD]

ダーティハリー3
監督:ジェームズ・ファーゴ
1976年 アメリカ

サンフランシスコ市長を誘拐したテロ集団との対決を描いた三作目。さすがにテロ集団だけあってバズーカをぶっ放すなどやることが派手ですが、幕切れは意外とあっけない。それに彼らがいまいち目立たないもう一つの理由は、ハリーと新人の女刑事・ムーアとの名コンビぶりの方が断然面白いから。

時代背景にウーマンリブの台頭があったのでしょう。実地経験のないムーア巡査の刑事昇格試験でのこと、汚い言葉を交えながらムーアに質問するハリーを、役人のミス・グレイが嫌悪感も露にたしなめると、

ハリー:「ムーア巡査がいざ銃を前にしてどう反応するかを俺は知っておきたいんだ。下手すりゃ彼女のケツに穴が開くんだぜ」
ムーア:「私のケツよ!」

ぐうの音も出ないハリー。名シーンです。ちなみにムーア役はタイン・デイリーという女優さんで、TVドラマ『女刑事キャグニー&レイシー』のレイシーを演じた人です。面白いドラマでした。

例によってハリーの犯人追走シーンが出色です。バックに流れるジャズとの調和も良いし、ハリーがビルの上を、それに追いつこうとムーアが下を、それぞれ走るという二重構造も面白い。


ダーティハリー4 [DVD]

ダーティハリー4
監督:クリント・イーストウッド
1983年 アメリカ

妹とともにレイプされ復讐の鬼と化した女を追うハリー。ただし、真の敵は彼女のレイプに関わった非道な連中のほう。

警察官としての立場に準じていたこれまでとは、一線を画してしまうハリー。というか逸脱していると言って良い。なぜなら彼はこの映画で人を“裁く”のです。職務として犯罪者を逮捕することより、彼自身の正義感に則って、善悪を分けることを優先してしまうんだな。それはシリーズ中、唯一のイーストウッド監督作であることも関係しているのでしょう。つまりイーストウッド自身の思想が色濃く反映されているのだと思います。復讐のため連続殺人に手を染める女をかばうハリーの姿は、『許されざる者』の主人公とかぶるところがあります。


ダーティハリー5 [DVD]

ダーティハリー5
監督:バディ・ヴァン・ホーン
1988年 アメリカ

相次ぐ有名人の死。被害者らに共通しているのは、死亡予想ゲーム“デッド・プール”のリストに名が上がっていることだった。そしてリストにはハリー自身の名も……。

さすがに五作目ともなると少々辛い。ハリーが歳とったことは大した問題じゃありません。それより、一作目から比べると全くの別物であるかの如く作品のテイストが違ってしまったこと、凡作の刑事アクションになってしまったことが大問題。だってもうハリーが主人公である必要がないんだもの。虚無感も罪悪感もないハリーなんてハリーじゃありません。“ダーティ”の名が泣くぜ。爆弾を積んだラジコンカーとのカーチェイスはそれなりに見せ場ですが、チェイスそのものの内容が良いのではなく、サンフランシスコの坂道がダイナミックに見せているだけです。シリーズ最後にしてワーストの作品となってしまいました。

ブレイク前のジム・キャリー(クレジットはジェイムス・キャリー)が出演しているのですが、彼のオーバーアクトぶりはこの頃既に確立されていたようです。


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