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ヒーロー 靴をなくした天使

ヒーロー 靴をなくした天使

監督:スティーヴン・フリアーズ
1992年 アメリカ

シニカルで身勝手で嘘つきでうだつの上がらない男が主人公。人は信用できないという持論を我が子にまで刷り込んで、別れた妻から文句を言われるような男です。仕事もクビになり、せこい盗みで食い繋ぎます。演じるのはダスティン・ホフマン。

ある日、主人公は別れた妻の元にいる子供に会おうと車を飛ばすさなか、飛行機の墜落事故に遭遇します。成り行きで乗客や乗務員を助け出す彼でしたが、実のところ人助けなんて割に合わないことは嫌いな男です。おまけに100ドルもする靴を片方なくすし、自分の車はどこかにレッカーされるし、それでもどうにか浮浪者のボロ車をヒッチハイクして乗せてもらい、お礼に片方だけ残った靴をプレゼントして裸足になったまま子供に会いに行きますが、また約束の時間を守らないで云々と元妻から怒鳴られ、もうさんざんです。

翌日からテレビのニュースは、片方の靴を残したまま消えたヒーローについての話題で持ちきりです。本人が一向に名乗り出てこないので、テレビ局はとうとう賞金まで用意します。大勢の偽物が局に詰め掛ける中、靴の持ち主が現れて、自分があの消えた天使だと名乗ります。主人公を車に乗せた浮浪者でした。

以来、その浮浪者はヒーローとして祭り上げられます。確かに彼は人々が求めるヒーロー像にうってつけでした。本当のヒーローはその頃、盗みがばれて保釈金も払えずに投獄間近でしたが、そんなことは誰も知るよしがありません。たぶん知りたくもないでしょう。人々には知る権利があると言いますが、人は知りたいことしか知ろうとしないし、マスコミは人々の食いつきがいいセンセーショナルな事実しか知らせようとしないのが常です。そこに真実などありゃしないのだ。人は善悪・清濁・陰陽、あらゆる相反する要素を同時に併せ持つグレーな存在であるはずが、人助けをした人間はすべからく善人であり、何らかの被害にあい死んだ人間はすべからく罪なき人であり、罪を犯した人間はすべからく悪の塊であるとしてしまう、それがマスコミのやり方であって、人々が求める物語です。

事態を遅まきながら把握した主人公も黙っていられません。何しろ彼には保釈金が必要なのです。名誉なんぞどうでもいいから、とにかく賞金だけはいただかなければならない。そこで誰彼つかまえては、我こそが消えた天使だと訴えますが、盗人の言い分など誰が信じましょう。今やすっかり聖人扱いの浮浪者と直談判しようにも、周囲を取り巻くガードに遮られて近づくことさえ出来ません。哀しいかな、それが現実なのです。テレビの中の狂騒を無表情に眺めながら、主人公は安酒をちびちびと舐めます。考えてみれば、人に信用されない・信用しない生き方を選択したのは、彼自身なのです。そうして一旦は諦めたかに見えた彼でしたが、このあと事態は一転します。それは観てのお楽しみ。

マスコミの体質の描き方がステレオタイプに偏っている感はあるものの、善いだけの人間も悪いだけの人間も出てこないところに好感が持てるし、人生や世の中の真理みたいなものを示唆する台詞が色々とあって、どれも納得できるものでした。主人公が子供に言った、「世の中は嘘だらけだ。お前はその中で気に入った嘘だけを信じればいい」という台詞が印象的。


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